ノルウェーの森のモデル!?和敬塾とは…

 ここ和敬塾は、村上春樹先生が1年間在籍されたことで有名ですが、(数年前に実際に和敬塾で講演をして頂いたことがあるそうです by編集者)村上先生の名著の数々の一つである「ノルウェイの森」に出てくる「寮」というのはここ和敬塾をモデルにしている、という噂がまことしやかに流れております。そこで、今回は小説の中で描かれる和敬塾と、実際の(現在の)和敬塾を比較していく、という視点から和敬塾の実態をみなさんにお伝えできればと思っています。再度断っておきますが、ノルウェイの森に登場する「寮」が和敬塾をモデルにしている、という確証はどこにもありませんので、あくまで塾生の僕が個人的に比較している、と理解していただければ幸いです。

ーーーーーーーーー以下少々ネタバレを含みますので、ご注意くださいーーーーーーーーーーー

 主人公である「僕」は、東京に進学する際に親に勧められて「寮」に住み始めました。寮の外観は、本の中で以下のような描写をされています。

「その寮は都内の見晴らしの良い高台にあった。敷地は広く、周りを高いコンクリートの塀に囲まれている。(中略)舗道をまっすぐ行った正面には二階建ての本部建物がある。一階には食堂と大きな浴場、二階には講堂といくつかの集会室、それから何に使うのかは知らないけれど貴賓室まである。本部建物のとなりには三つめの寮棟がある。これも三階建てだ。中庭は広く、緑の芝生の中ではスプリンクラーが太陽の光を反射させながらぐるぐると回っている。本部建物の裏手には野球とサッカーの兼用グラウンドとテニス・コートが六面ある。至れり尽せりだ。」

 在塾生の僕から見ても、ここでの描写はほとんど和敬塾そのものではないか、と思います。違う点を挙げれば、まずは「高いコンクリートの壁」でしょうか。確かにコンクリートの塀はあるものの、閉塞感は一切なく、写真を見ていただければわかるように木々が生い茂ってまるで都内ではないかのような錯覚を受けるほどです。次に、中庭の芝生と六面のテニスコートですが、さすがにここまでは充実していないものの、男子大学生が満足にスポーツを楽しめるほどの設備が整っており、至れり尽くせりであることには違いないです。

 

続いて、在塾生として読んでいて一番面白かったポイントを紹介します。「寮」の運営に関して、「僕」は以下のような説明をしています。

 「この寮の出身者で財政界に地下の閥を作ろうというのが設立者の目的なのだということであった。たしかに寮には寮生の中のトップ・エリートをあつめた特権的なクラブのようなものがあって、(中略)そのクラブに入っている限り就職の心配はないということであった。」

 就活が終わった数人の先輩にこのクラブの存在について聞いてみました。(和敬塾の先輩方は就活をする際にも和敬塾での経験を武器にして志望企業の内定をもらっています)帰ってきた返事は、「そんなものはない」とのことでした。しかし、なんせ特権クラブですから、僕のようなヒラの1年生には存在をひた隠しにしなければならないのかもしれません。このブログを見ている中でクラブ関係者の方がいらっしゃいましたら、ご連絡お待ちしております。

 作中には個性的な寮生が何人か登場します。ここでは、「僕」の同居人を取り上げたいと思うのですが、同居人(通称:突撃隊)は、少し変わり者で、毎朝六時に起きては部屋でラジオ体操を踊るという人です。こんな殊勝な心がけ(?)を持った人は実際には存在せず、毎朝色々な方角から止められることのないアラームが鳴り響いています。しかし、「衆力功あり」とはよく言ったもので、このような怠惰な和敬生の中でも集団の力を借りればなんとかなると、班員全員で早朝ラジオ体操を敢行した班がありました。


日頃はアラームとの戦いに圧巻の勝利を重ねている北寮生が、朝日を背に体操に勤しむ姿には感動すら覚えます。

続いて、食堂での一場面を紹介します。

「ある日僕が食堂の日だまりで日なたぼっこをしながら「グレート・ギャツビィ」を読んでいると、となりに座って…(略)」

 和敬塾にも文学が好きな塾生は多数いるものの、食堂にまで本を持ってきて読書を楽しむ、といった人は見たことがありません(笑)実際にはいろんな会話が飛び交っていて、乃木坂の推しについてのプレゼンから、気になっているサークルの女子の話や本格的な哲学の話まで本当に飽きがこないです。

ここまで和敬塾の実際とともに、いくつかの場面を紹介してきましたが、和敬塾をモデルにしているのも納得な場面も沢山ある一方で、全くのフィクションである場面も数多くあります。和敬塾への入塾を検討されている方々は、決して作中の描き方を額面通り受け取るのではなく、実際に和敬塾を訪れて、在塾生の実際を体感していただけると嬉しいです。

文責 河口

引用文献:村上春樹『ノルウェイの森』講談社, 1987年

和敬塾北寮公式blog

当サイトは東京都文京区目白台にある男子学生寮 財団法人和敬塾 の北寮のWebブログです。 北寮に入寮希望の方々や、北寮のOBや保護者の方々に、 北寮の今を伝えていけたらと思います

0コメント

  • 1000 / 1000